ジャケットデザイン

ロックンロールの魅力は、難しさではなく即効性にあります。
最初の一音で心をつかみ、気づけば何度も再生している。
Rockpileの『Seconds of Pleasure』は、そんな原点を思い出させる作品です。
1980年という変化の激しい時代に発表されました。
それでも流行に迎合せず、純度の高いロックを貫いています。
Nick LoweとDave Edmundsという二人の才能が中心です。
彼らのギターと歌は、無駄がなく力強いです。
このアルバムは、Rockpile唯一のスタジオ作品です。
だからこそ、内容は極限まで研ぎ澄まされています。
今聴いても古さを感じさせない理由を、詳しく掘り下げます。
CD版:【輸入盤】Seconds Of Pleasure
LP(アナログ盤):Seconds of Pleasure
音楽スタイル

音楽ジャンル
パブロック、ロックンロール、パワーポップです。
音楽的特徴
- 50年代から60年代のロックを基盤にしています
- 速いテンポと明快なコード進行が特徴です
- 演奏は非常にタイトで、ライヴ感があります
- 歌とメロディを最優先した構成です
類似アーティスト
- Nick Lowe(ソロ):同じメロディ感覚を持ちます
- Dave Edmunds(ソロ):50年代ロックへの姿勢が共通です
- Graham Parker & The Rumour:パブロックの精神性が近いです
この作品のおすすめポイント3選
1. 唯一のアルバムに凝縮された完成度
本作はRockpile唯一のスタジオアルバムです。
長年バックバンドとして培った演奏力が結実しています。
全員が主役になれるバンドの強さがあります。
無駄な曲が一切ありません。
最初から最後まで高水準を保っています。
2. ヒット曲とアルバム曲の質が同等
「Teacher, Teacher」は最大のヒット曲です。
しかし他の曲も完成度が落ちません。
短く、覚えやすい曲が並びます。
何度聴いても疲れない構成です。
アルバム単位での満足度が非常に高いです。
3. フォーマット違いも楽しめる作品
UK盤とUS盤で仕様が異なります。
US初回盤にはボーナスEPが付属しました。
Everly Brothersのカバーを収録しています。
コレクション性も高い一枚です。
CD版:【輸入盤】Seconds Of Pleasure
LP(アナログ盤):Seconds of Pleasure
作品基本情報
- 作品名:Seconds of Pleasure
- アーティスト名:Rockpile
- 発売年:1980年
- レーベル:UK – F-Beat / US – Columbia
- 総再生時間:約37分
- 収録曲数:12曲(オリジナル盤)
- チャート:全米27位、全英34位を記録
フォーマット情報
- UK盤:オリジナル仕様12曲
- US初回盤:4曲入りボーナスEP付属
- CD:後年にデラックス版あり(19曲収録)
作品紹介

Rockpileは、Dave EdmundsとNick Loweを中心に結成されました。
二人は1970年代の英国ロックを支えた重要人物です。
パンクやニューウェーブが台頭する時代でした。
音楽は速さと刺激を求められていました。
その中で彼らは、古典的なロックを選びます。
本作は1980年秋に発表されました。
バンドとしての唯一のスタジオ作品です。
長年の活動にも関わらず、発表は一作のみでした。
その理由は、契約上の問題が大きいです。
EdmundsはSwan Song、LoweはF-Beatと別レーベルでした。
サウンドは非常にシンプルです。
ギター、ベース、ドラムが明確に分離しています。
歌が自然に前に出ます。
曲は短く、展開が早いです。
平均2〜3分の楽曲が大半を占めます。
シングル「Teacher, Teacher」は全米51位を記録しました。
商業的にも一定の成功を収めています。
批評家からの評価も高いです。
無駄のない演奏が称賛されました。
AllMusicは4つ星を付けています。
このアルバムは懐古趣味ではありません。
ロックンロールの基本を再確認させます。
後のパワーポップにも影響を与えました。
今聴いても鮮度を失わない理由がここにあります。
おすすめトラック3選
1. Teacher, Teacher
選曲理由
バンド最大のヒット曲です。
Rockpileの魅力が凝縮されています。
具体的な魅力
切れ味のあるギターリフが印象的です。
コーラスも非常に覚えやすいです。
Nick Loweのボーカルが軽快に響きます。
2分36秒という短さも絶妙です。
一度聴いたら忘れられないフックがあります。
2. Heart
選曲理由
アルバム中でも異色のバラードです。
表現の幅広さを示します。
具体的な魅力
Billy Bremnerの歌が感情的です。
静かな展開が耳に残ります。
ギターの音色が繊細で美しいです。
Nick Loweは後に自身のソロでも再録しています。
アルバムに深みを与える重要な一曲です。
3. When I Write the Book
選曲理由
Nick Loweの作家性が光ります。
ポップ志向の代表曲です。
具体的な魅力
軽快なリズムと語り口が魅力です。
歌詞も親しみやすいです。
洗練されたメロディラインが心地よいです。
演奏は控えめで、歌を引き立てています。
Loweのソングライターとしての実力を示します。
全収録曲リスト
- Teacher, Teacher
- If Sugar Was As Sweet As You
- Heart
- Now And Always
- A Knife And A Fork
- Play That Fast Thing (One More Time)
- Wrong Again (Let’s Face It)
- Pet You And Hold You
- Oh What A Thrill
- When I Write The Book
- Fool Too Long
- You Ain’t Nothin’ But Fine
ボーナストラック(デラックス版)
- Take A Message To Mary
- Crying In The Rain
- Poor Jenny
- When Will I Be Loved
- Back To Schooldays(Live)
- They Called It Rock(Live)
- Crawling From The Wreckage(Live)
アーティスト概要

Rockpileの歴史
Rockpileは1970年代中盤に活動を開始しました。
中心人物はDave EdmundsとNick Loweです。
EdmundsはLove Sculptureで知られていました。
1968年に「Sabre Dance」で英国トップ5ヒットを記録しています。
LoweはBrinsley Schwarzのメンバーでした。
パブロックシーンの重要なバンドです。
1976年頃から本格的な共同作業が始まります。
当初はソロ作品のバックバンドでした。
演奏力の高さが評判になります。
事実上のバンドとして認識されました。
しかし契約上の問題が常に付きまといました。
メンバーは4人編成です。
全員が歌える点が特徴です。
そのため楽曲の表情が豊かです。
リードボーカルを曲ごとに変えられる強みがありました。
1979年には同時期に2枚のアルバムを制作しています。
Edmundsの『Repeat When Necessary』とLoweの『Labour of Lust』です。
両方ともRockpileによる演奏でした。
しかし契約の関係で別名義での発表となりました。
1980年にようやくバンド名義でのアルバムが実現します。
それが本作『Seconds of Pleasure』です。
しかし発表直後にバンドは解散しました。
音楽性の違いというより、ビジネス上の理由が大きかったです。
Rockpileは派手さを求めません。
楽曲の完成度を最優先しました。
この姿勢は後のバンドに影響を与えます。
パワーポップの模範とも言えます。
短命でしたが影響力は大きいです。
今も評価が下がることはありません。
主要メンバー
- Dave Edmunds(Guitar, Vocals, Piano, Organ)
- Nick Lowe(Bass, Vocals)
- Billy Bremner(Guitar, Vocals)
- Terry Williams(Drums)
Rockpileのスタジオアルバム一覧
- Seconds of Pleasure(1980) – 唯一のスタジオアルバム
筆者の個人的感想

『Seconds of Pleasure』は即効性のある名盤です。
難解さは一切ありません。
聴いた瞬間に楽しさが伝わります。
だからこそ、何度も再生されます。
40年以上前の作品ですが、古さを感じさせません。
ロックンロールの本質が詰まっているからです。
流行に左右されない普遍性があります。
アナログ、CD、配信のどれでも成立します。
フォーマットを選ばない完成度です。
ロックンロールの基本を味わいたい方に最適です。
この一枚を手に取る価値は十分にあります。
30分台の短さも魅力です。
集中力が途切れることなく聴き通せます。
そしてすぐにもう一度聴きたくなるのです。
それこそがこのアルバムの真の力です。
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LP(アナログ盤):Seconds of Pleasure


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