ジャケットデザイン

70年代末のロンドンで、古いモッズを新しく鳴らしたバンドがSecret Affairです。
デビュー作『GLORY BOYS』は、スーツ姿の青年たちが街を駆け抜けるような疾走感にあふれた一枚です。
中でもUS盤LP「SRK 6089」は、シングル「My World」を追加した、いわば強化版ともいえる内容です。
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まずはUS盤LPを軸に、作品の魅力をたどっていきます。
レコード⇒GLORY BOYS 45TH ANNIVERSARY EDITION [Analog]
レコード(HQ)⇒Glory Boys -Hq/Insert- [Analog]
CD⇒Glory Boys
音楽スタイル

- 音楽ジャンル:
Mod Revival / Power Pop / New Wave - 音楽的特徴:
ソウルに影響を受けたダンスビートに、切れ味のあるギターとホーンを重ねたポップなバンドサウンドです。 - 類似アーティスト:
The Jam、The Chords、The Lambrettasなどのネオモッズ系バンドに近いです。
おすすめポイント3選
- 名曲シングルをLPでまとめて味わえる
「Time For Action」「Let Your Heart Dance」「My World」など、バンドの代表曲がアルバム単位で流れの中で聴けます。
単独で聴いても良い曲ですが、アルバム全体で聴くことで「若者の誇り」「都会での連帯感」といったテーマがより鮮明になります。 - ソウルとギターが混ざった踊れるモッドサウンド
Ian Pageのトランペットと歌が、R&Bのしなやかさとロックの勢いを一本に束ねています。
Dave Cairnsのギターはシャープだが温度があり、どの曲にも”陽”のエネルギーがあります。 - US盤LPならではのプラス1曲が生む深み
US盤SRK 6089は、シングル「My World」を追加した11曲入りです。この曲がアルバム前半の「勢い」に”内省”を差し込み、コンパクトながら内容の密度が高い完成版となっています。
基本データ
| 作品名 | GLORY BOYS |
| アーティスト名 | Secret Affair |
| 発売年 | UKオリジナルLPは1979年、US盤LP SRK 6089は1980年 |
| レーベル | US盤LPはSire Records / UK盤はI-Spy / Arista |
| 総再生時間 | UK盤は約37分6秒、US盤は「My World」追加で約41分 |
| 収録曲数 | US盤LP SRK 6089は11曲(UK盤は10曲) |
作品紹介

Secret Affairは1978年、ロンドン近郊で結成されたモッド・リバイバルバンドです。
New Hearts解散後、Ian PageとDave Cairnsが中心となり、「現代のモッズ」を自分たちで名乗り始めました。
彼らは自前のレーベル「I-Spy」を立ち上げ、Aristaと提携して『GLORY BOYS』をリリースしました。
1979年にUKで発売されたこのアルバムは、UKチャートで41位に入りました。
モッドリバイバルの代表作のひとつとして扱われています。
曲のテーマは、彼ら自身が掲げた「Glory Boys」という若者像です。
誇り高く、スーツに身を包み、街の中で自分たちの居場所を探す青年たちの空気が、歌詞と演奏に凝縮されています。
US盤LP SRK 6089は1980年にSireから登場しました。
「My World」を追加した構成でリリースされました。
一部曲はアメリカ市場向けにミックスを調整されています。
よりラジオ向きの音像になっているとされています。
アルバムは現在まで何度か再発され、近年もアナログ再プレスやCDリマスター盤が出続けています。
モッドリバイバルの教科書的な一枚として、再評価の波の中で聴かれ続けている作品です。
おすすめトラック3選
1. Time For Action
バンド最大のヒットシングルで、モッド・リバイバルを象徴するアンセムです。
一斉に声を上げるようなサビとタイトなビートが、アルバム全体の扉を開く役割を果たします。
UKシングルチャート13位を記録し、20万枚近く売れた代表曲です。
2. Glory Boys
アルバムとコンセプトを象徴するタイトル曲です。
誇りと不安が入り混じったメロディとホーンアレンジが、若者たちの姿を鮮明に浮かび上がらせます。
映画「Performance」に影響を受けた、モダンな若者像を歌った楽曲です。
3. My World(US盤追加曲)
US盤で追加された1曲で、しなやかなグルーヴと切ないメロディが光るシングル曲です。
US盤LPを選ぶ一番の理由になる楽曲であり、アルバム全体の余韻をぐっと深くしてくれます。
UKでは2ndアルバム「Behind Closed Doors」に収録されましたが、US盤では本作に収録されています。
全収録曲名(US盤LP SRK 6089)
Side One
- Glory Boys
- Shake and Shout
- Going to a Go-Go
- Time for Action
- New Dance
- My World ← US盤追加曲
Side Two
- Days of Change
- Don’t Look Down
- One Way World
- Let Your Heart Dance
- I’m Not Free (But I’m Cheap)
UK盤とUS盤の違い
| 項目 | UK盤 LP (I-Spy / Arista) | US盤 LP SRK 6089 (Sire) |
|---|---|---|
| 発売年 | 1979年 | 1980年 |
| 収録曲数 | 10曲 | 11曲(「My World」追加) |
| 音源 | UKオリジナルミックス | 一部曲をUS向けにリミックス |
| 音の印象 | 生々しくタイト | 広がりがありラジオ向き |
| ジャケット | UKオリジナルデザイン | レイアウトの異なるUS仕様 |
| 入手性 | 中古市場が中心 | オリジナル中古+再発LPが入手しやすい |
レコード⇒GLORY BOYS 45TH ANNIVERSARY EDITION [Analog]
レコード(HQ)⇒Glory Boys -Hq/Insert- [Analog]
CD⇒Glory Boys
アーティスト概要

Secret Affairは、モッド・リバイバル第二世代の中核バンドです。
Ian Pageのソウルフルな歌声とトランペット、Dave Cairnsのメロディアスなギターを軸にした編成です。
1979年から1982年にかけてシングルを連発しました。
「Time For Action」「My World」などがUKチャート上位に入りました。
同時代のThe Jamとは別の角度から、モッズカルチャーをポップでダンサブルな形にまとめ上げました。
80年代前半に活動が一度途切れたものの、のちに再結成しました。
ライブや再発を通じて継続的に支持を集めています。
モッズファッションと硬派なポップソングのバランスは、今のインディーバンドにも影響を与えています。
主要バンドメンバー(Glory Boys期)
- Ian Page (Vo, Tp)
- David Cairns (G)
- Dennis Smith (B)
- Seb Shelton (Dr)
スタジオアルバム一覧
- Glory Boys (1979)
- Behind Closed Doors (1980)
- Business as Usual (1982)
- Soho Dreams (2012)
US盤のミックスについて:
Sire Recordsは「アメリカ人の耳」を意識し、US盤用に一部曲のリミックスを施しました。
UK盤が持つタイトで生々しい音像に対し、US盤はブラスやコーラスの響きをより際立たせています。
低音を豊かにすることで、空間的な広がりとキャッチーさを強調しています。
この調整が、US盤を初心者でも聴きやすい、明るくポップな音像に仕上げています。
筆者の個人的感想

この『GLORY BOYS』US盤LPは、モッドリバイバルという一時代を象徴する作品です。
ただの懐古趣味ではなく、現代のインディーポップにも通じる普遍性を持っています。
特に「My World」が追加されたUS盤は、アルバムとしての完成度が格段に高まっています。
前半のアッパーな勢いだけでなく、内省的な深みも加わった構成になっています。
音像も明るく聴きやすいため、これから手に入れるにはベストな仕様です。
モッドの美学、青春のエネルギー、都会での疾走感。
そのすべてがこの一枚に凝縮されています。
30代以上の音楽ファンなら、きっとこの一枚の持つ「誇り」と「熱」を感じ取れるはずです。
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