最近、心から「いいな」と思える音楽に出会っただろうか。
完璧に作り込まれた音楽も良いけれど、時には荒々しくて生々しい音楽が聴きたくなります。
THEE VICARSのデビューアルバム『Back On The Streets』は、全16曲・33分58秒の作品です。Dirty Water Recordsからリリースされたこのアルバムは、リリース直後からNMEやClashなど主要音楽誌が「UKガレージ・ロック・リバイバルの新たな旗手」として絶賛しました。
この33分には、60年代ガレージ・ロックの荒々しさと若者たちの衝動がギュッと詰まっています。
The SonicsやThe Mummies、Billy Childishといったレジェンドたちの影響を受けながらも、ローファイな録音と疾走感あふれるサウンドで独自の世界を作り上げました。技術よりも勢い。完璧さよりも熱量。そんなストレートな音楽です。
このアルバムには60年代ガレージ・ロックを知るための最高の入門書として適役です。
Back On The Streets
おすすめポイント3選
①平均年齢17歳の若者の衝動的音楽。
②60sガレージの名曲を掘り下げるための”最高の入門書。
③全16曲を33分58秒で駆け抜ける、ノンストップの爽快感。
ジャケットデザイン

アルバム基本情報
作品名:BACK ON THE STREET
アーティスト名:THEE VICARS
発売年:2008年
レーベル:Dirty Water Records
総再生時間:33分58秒
収録曲数:16曲
アルバム紹介
当時、メンバーの平均年齢は17歳と若き才能が炸裂するローファイ・ガレージパンク1stフルアルバム。
リリース直後から世間ではエネルギッシュで粗削りなガレージ・サウンドが高く評価され、NMEやClashなど主要音楽誌も「UKガレージ・ロック・リバイバルの新たな旗手」として絶賛されました。
アナログ感の強いローファイな録音手法を採用しつつ、楽曲は疾走感、荒々しさ、同時に哀愁を漂わせたガレージロックが特徴です。
レトロなヴィンテージサウンドへのこだわりもあり、ジャムやR&Bといったルーツ音楽の持つ初期衝動を体感できます。
Thee Vicarsは短命なバンドだったが、彼らが残した音はガレージ・ロックを再びメインストリームに引き戻しました。
■おすすめトラック
・Back on the Street – アルバムタイトル曲。疾走感と荒々しさが詰まった代表曲
・Budget Rock – ローファイサウンドの真髄を味わえる1曲
・You Better Watch Out – 哀愁漂うメロディと攻撃的なリフの融合
■収録曲
1.Introduction To Thee Vicars
2.Back On The Streets
3.Why Have You Changed?
4.Mindless Squares
5.Budget Rock
6.Small Town Blues
7.Don’t Try To Tell Me
8.Tore My Heart
9.The Dreaded Day Job
10.Gonna Make You Mine
11.They Lied To You
12.You Better Watch Out
13.I’ll Hunt You Down
14.I Don’t Wanna Be Like You
15.Leavin’ Here
16.Straight Home
Back On The Streets
バンド概要
イギリス・サフォーク州ベリー・セント・エドマンズで結成された4人組ガレージPUNKバンドです。
「今の時代にガレージ・ロックを鳴らしたらどうなるか?」という単純で純粋な発想からスタートしました。
2007年、結成当時の平均年齢は16〜17歳で、パンクや60年代ガレージから強い影響を受けたサウンドで地元クラブやUK国内外で精力的にライブ活動を開始しました。
活動時期は主に2000年代後半で、短期間ながらも熱心なガレージ・パンクファン層を獲得しました。
2008年、Dirty Water Recordsと契約し、ファーストアルバム『Back On The Streets』をリリースすると、熱量と若さが話題となり、NMEやClashなど著名音楽誌が絶賛しました。
デビュー当時多くの媒体が「ティーンエイジャーによる本物のロックンロール」と絶賛し、The HorrorsやBlack Lipsのサポートアクトにも抜擢され、ヨーロッパ・UKツアーやVice Magazine主催のフェスにも出演しています。
お気付きの方もいると思うが、バンド名の頭に”THEE “が付いているのは、ビリー・チャイルディッシュの影響を受けまくっているバンドです。
プライベート事情によるメンバー入れ替えもありつつ、中心人物Mike Whittaker(Ba/Vo.)を中心に活動継続。
セカンドアルバム以降もDirty Water/Get Hipでリリースし、2009年、2010年、2011年と毎年コンスタントに作品をリリースしました。
■スタジオアルバム
・PSYCHOTIC BEAT!(2008)
・BACK ON THE STREETS(2010)
・I WANNA BE YOUR VICAR(2012)
■主要メンバー
・Mike Whittaker(Ba/Vo.)
・Chris Langeland(Gt.)
・Alex De Renzi(Dr.)
・Marcus Volkert(Gt.)-旧メンバー
・Will Pattenden(Dr.)-旧メンバー
・Jasper Kemp(Dr.)-旧メンバー
・Reuben Kemp(Gt.)-旧メンバー
筆者の個人的な感想
正直に言うと、最初にこのアルバムを聴いたときは「荒削りすぎるかな」と思いました。
しかし、2曲目の「Back On The Streets」で完全に持っていかれました。ローファイな録音なのに、なぜかクリアに聴こえます。
技術は粗いのに、なぜか心に残ります。その矛盾が、このアルバムの魅力だと気づきました。
平均年齢17歳の若者たちが、何の計算もなく鳴らした音。それがこんなにも人の心を動かすなんて、音楽の本質ってこういうことなんだと思わされました。
特に「Budget Rock」と「You Better Watch Out」は何度もリピートしてしまう。
朝の通勤電車でこのアルバムを聴くと、不思議と「今日も頑張ろう」って気持ちになれます。
33分というコンパクトさも、忙しい日常にちょうどいいです。
このアルバムを聴いて、60年代ガレージ・ロックをもっと掘り下げたくなりました。
The SonicsやThe Mummiesも聴くようなり、Billy Childishの作品も追いかけるようになりました。音楽の聴き方が確実に広がりました。
THEE VICARSは短命なバンドだったけど、彼らが残したこの1枚は間違いなく名盤です。

 
  
  
  
   
    

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