2006年、イギリスの音楽シーンに衝撃を与えた一枚があります。
Arctic Monkeysのデビューアルバム『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』。
リリース初週にしてUK史上最速のセールス記録を打ち立て、インターネット発の口コミで世界へと広がったこの作品は、2000年代インディーロックの象徴となりました。
今回は、その魅力と背景をあらためて掘り下げてみたいと思います。
ジャケットデザイン

音楽スタイル
バンド初期はインディー・ロック、ガレージ・ロック、ポストパンク、オルタナティヴ・ロック。
中期になると、初期の音楽スタイルからピアノやオルガン、ラウンジ風・サイケデリックな要素、ゆったりしたテンポの曲、シネマティックなアレンジなどが強くなる変化していきました。
おすすめポイント3選
①The LibertinesやFranz Ferdinandなどと並び、2000年代のUKインディーロックシーンを決定づけた1枚。
②歴史的名曲でありデビューシングル「I Bet You Look Good on the Dancefloor」を収録。
③社会問題や世の中の不満をうまく風刺した歌詞が秀逸なので、和訳している日本盤をおすすめします。
ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット(限定スペシャル・プライス盤)
アルバム基本情報
作品名:WHATEVER PEOPLE SAY I AM, THAT’S WHAT I’M NOT
アーティスト名:ARCTIC MONKEYS
発売年:2006年
レーベル:Domino
総再生時間:41分03秒
収録曲数:13曲
アルバム紹介
2006年にリリースされた彼らの1stアルバムです。
デビューアルバムとしては初週だけで36万枚以上を売り上げ、当時のUK史上最速セールスを記録しました。
最速セールスを記録した要因として、今の時代では当たり前ですが、SNSでファンがライブ録音をインターネットでシェアし口コミが広がったことが大ブレイクのきっかけです。。
The LibertinesやFranz Ferdinandなどと並び、NMEやRolling Stoneなど数多くの音楽誌で「2000年代を代表するアルバム」と評価されております。
全体的に曲の良さはもちろんですが、Alex Turner(Vo./Gt.)の言葉数の多さがヒップ・ポップの流れを感じられ、そこにMatt Helder(Dr.)の高速ドラムがたたみかけ、ヒリヒリとした緊張感が感じられるところが聴きどころかと思います。
■おすすめ曲
・I Bet You Look Good on the Dancefloor:全英1位を獲得したデビューシングル。疾走感あるリフとキャッチーなメロディが特徴です。
・When the Sun Goes Down:全英1位を獲得したシングルです。サウンドはシンプルながら迫力と臨場感が高く、ライブでも非常に盛り上がる初期の名曲です。
・Fake Tales of San Francisco:ミドルテンポの曲ですが、流行や見栄だけで自分を大きく見せようとする『嘘』の姿勢を皮肉った歌詞が特徴です。特に、「get off the bandwagon(流行に乗るのはやめろ)」という歌詞のフレーズが印象的です。
■収録曲
1.The View from the Afternoon
2.I Bet You Look Good on the Dancefloor
3.Fake Tales of San Francisco
4.Dancing Shoes
5.You Probably Couldn’t See for the Lights but You Were Staring Straight at Me
6.Still Take You Home
7.Riot Van
8.Red Light Indicates Doors Are Secured
9.Mardy Bum
10.Perhaps Vampires Is a Bit Strong But…
11.When the Sun Goes Down
12.From the Ritz to the Rubble
13.A Certain Romance
ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット(限定スペシャル・プライス盤)
バンド概要
2002年にイギリスのシェフィールド出身の友人4人で結成された、ロックバンドです。
デモ音源がインターネットとSNSによって爆発的に拡散され、イギリスの若者たちの間で圧倒的な人気を得ました。
インターネット時代の新たなバンド像を築き、口コミと自主流通でメジャーシーンに登場した先駆的存在です。
当初は「Bang Bang」というバンド名でしたが、ジェイミー・クックの発案「Arctic Monkeys」に変更しました。
インディーレーベル「ドミノ」(Domino)と契約し、10月にデビューシングル「I Bet You Look Good on the Dancefloor」をリリース、全英初登場1位を獲得しました。
2006年にデビューアルバム「WHATEVER PEOPLE SAY I AM, THAT’S WHAT I’M NOT」をリリースし全英米インディー、オリコン洋楽等チャート1位を獲得しました。
発売初週で36万枚を売り上げ、英国アルバム史上最速セールスを記録しまし、ブリットアワード最優秀新人賞、マーキュリー・プライズ他音楽賞を総なめにした新人離れしたモンスターバンドとなりました。
2007年にサウンドがより進化した2ndアルバム『FAVOURITE WORST NIGHTMARE』をリリースしました。
同年には、サマーソニック史上最年少のヘッドライナーとして抜擢されました。
バンドは順調に見えましたが、初期ベーシストのAndy Nicholson(Ba.が脱退し、Nick O’Malley(Ba.)が加入しました。
2009年にはダークで実験的な音作りが特徴の3rd『HUMBUG』をリリースしました。
2011年にはサウンドの幅をさらに広げた4th『SUCK IT AND SEE』をリリースしました。
2012年にはロンドンオリンピックの開会式で演奏したり、グラストンベリーのヘッドライナーを2度も飾ったり英国を代表するバンドとなりました。
2014年には全英1位・全米Billboard6位など世界的に大ヒットした5thアルバム『AM』リリースしました。ツアー後はバンドは活動休止期間に入りました。
活動休止を明けて、2018年にはピアノを中心としたスタイルの6th『TRANQUILITY BASE HOTEL & CASINO』をリリースしました。
2022年には多層的な表現と大人びたムードが特徴の7thアルバム『THE CAR』リリース。
2000年代UKロックの象徴的バンドです。
音楽スタイルもギター中心 → ポップ/メロディ重視 → ピアノやサイケ、ラウンジ的要素など常に変化をしており、ファン層・批評を恐れない進化し続けるバンドです。
■スタジオアルバム
・WHATEVER PEOPLE SAY I AM, THAT’S WHAT I’M NOT(2006年)
・FAVOURITE WORST NIGHTMARE(2007年)
・HUMBUG(2009年)
・SUCK IT AND SEE(2011年)
・AM(2013年)
・TRANQUILITY BASE HOTEL & CASINO(2018年)
・THE CAR(2022年)
■主要メンバー
・Alex Turner(Vo./Gt.)
・Jamie Cook(Gt.)
・Matt Helder(Dr.)
・Nick O’Malley(Ba.)
・Andy Nicholson(Ba.)-脱退
筆者の個人的感想
このアルバムを初めて聴いたときは「何だこの勢いは!」と圧倒されました。
疾走感あふれるギターリフ、畳みかけるようなドラム、そして言葉数の多いボーカル。すべてが新鮮で、エネルギーに満ち溢れていました。特に「I Bet You Look Good on the Dancefloor」のキャッチーさは、一度聴いたら頭から離れません。
Arctic Monkeysはその後も進化を続け、アルバムごとに異なる表情を見せてくれます。しかし、このデビュー作にしかない”若さ”と”衝動”は、バンドの歴史の中でも特別な輝きを放っています。
もしあなたが「最近、心に刺さる音楽に出会えていない」と感じているなら、このアルバムを聴いてみてください。2000年代のUKロックシーンが生んだ、間違いなく名盤です。
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