2000年代ロック・リバイバルの傑作「Highly Evolved」を紹介

2000年代ロック・リバイバルの傑作「Highly Evolved」を紹介 音楽レビュー
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ちゃちゃ丸

音楽コレクター歴25年、CD/レコード保有枚数2,500枚超|70年代パンク・ガレージロック専門|40代会社員として働きながら、マニアックな名盤から隠れた良盤まで実際に購入してレビュー|「次に聴くべき1枚」を探している音楽ファンのために、忖度なしの本音レビューをお届けします|愛犬:アメリカン・コッカー・スパニエル

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2002年。オーストラリアから現れた4人組が、世界中の音楽ファンを震撼させました。
荒削りなギター、衝動的なボーカル、そして60年代のポップセンス。
相反する要素が奇跡的に融合したデビュー・アルバムです。
NME誌が年間2位に選出した理由が、聴けばすぐに分かります。
30代以降のあなたなら、この熱量に心が動くはずです。
かつて感じたロックの興奮を、もう一度体験してみませんか。
CDはコチラ→Highly Evolved
LPはコチラ→HIGHLY EVOLVED [LP] (15TH ANNIVERSARY) [Analog]

ジャケットデザイン

音楽スタイル

1960年代ガレージ・ロックと1990年代オルタナティブ・ロックの融合。
ビートルズのメロディとニルヴァーナの破壊衝動が共存しています。
グランジの重厚さと60年代ポップの軽快さが同居する稀有なサウンドです。

アルバムおすすめポイント3選

  1. 「ニルヴァーナ・ミーツ・ビートルズ」と称された独自性
    相反する要素の化学反応が、このアルバムの最大の魅力です。
    荒々しさと繊細さが1枚の中に凝縮されています。
    The StrokesやThe White Stripesとは一線を画す個性があります。
  2. 世界200万枚のセールスを記録した普遍的な力
    全英5位、全豪3位、全米11位という驚異的なチャート成績です。
    オーストラリアではプラチナ認定を獲得しました。
    アメリカでもゴールド認定され、世界中で評価されました。
  3. わずか43分40秒に詰め込まれた”完璧な不完全さ”
    アルバム全体の完成度と荒削りさのバランスが絶妙です。
    疾走する曲と静かな曲の振れ幅が、聴き手を飽きさせません。
    1曲1曲が短く濃密で、何度でも繰り返し聴きたくなります。

アルバム基本情報

アルバム基本情報
作品名:HIGHLY EVOLVED
アーティスト名:THE VINES
発売年:2002年
レーベル:Capitol Records
総再生時間:43分40秒
収録曲数:12曲

アルバム紹介

『Highly Evolved』は、2002年7月にリリースされたTHE VINESのデビュー作です。

ロサンゼルスのスタジオで2001年7月から2002年2月にかけて録音されました。
プロデュースはElliott Smithとの仕事で知られるRob Schnapfです。

ガレージロック・リバイバルの波に乗り、音楽業界を席巻しました。
NME誌で2002年の年間2位に選ばれるなど、批評家から高い評価を獲得しています。
さらに「1001 Albums You Must Hear Before You Die」にも選出されました。

冒頭の「Highly Evolved」は1分34秒という短さで強烈な印象を残します。
一方「Autumn Shade」「Homesick」といったメロディックな楽曲も配置されています。
この振れ幅の大きさが、アルバムの奥深さを生み出しているのです。
勢いのあるラウドな楽曲から繊細なバラードまで、表情豊かな内容です。

オアシスやレディオヘッドを彷彿とさせる瞬間もあります。
全体を通して、60年代のガレージロックの香りが漂っています。
キャッチーなメロディにグランジの要素をミックスした手法が見事です。

もしあなたが30代〜60代なら、かつてのロック熱を再燃させる入口になります。
過去のグランジ/オルタナを嗜んできた耳に、今なお鮮烈に響く力があります。
そして2002年という時代のガレージ・ロックリバイバルを体感できるアルバムです。

おすすめトラック

  • Get Free
    バンドを世界へ押し上げた代表曲です。
    究極にキャッチーなギター・リフが耳から離れません。
    MTVでも高回転でオンエアされ、チャートを駆け上がりました。
  • Outtathaway
    疾走感溢れる展開が魅力のトラックです。
  • Highly Evolved
    アルバム冒頭を飾る1分35秒の衝撃的なナンバーです。
    短い構成ながら、インパクトと衝動が凝縮されています。
    このオープニングで一気に引き込まれる人が続出しました。

■収録曲
1.Highly Evolved
2.Autumn Shade
3.Outtathaway
4.Sunshinin’
5.Homesick
6.Get Free
7.Country Yard
8.Factory
9.In the Jungle
10.Mary Jane
11.Ain’t No Room
12.1969
CDはコチラ→Highly Evolved
LPはコチラ→HIGHLY EVOLVED [LP] (15TH ANNIVERSARY) [Analog]

バンド概要

THE VINESは、1994年にオーストラリア・シドニーで結成されました。

Craig Nicholls(Vo/Gt)を中心に、音楽活動を開始しています。
結成当初は地元のパブやパーティーでカバー演奏を重ねていました。
やがてオリジナル曲を制作し、独自のサウンドを構築していきます。

イギリスのインディレーベルXL Recordingsにデモテープを送ったことが転機でした。
2001年にEPをリリースし、音楽シーンに登場します。
2002年のデビューアルバム『Highly Evolved』で世界的な注目を浴びました。

The Strokes、The Hives、The White Stripesと並び称されるバンドです。
「ガレージ・リバイバル」ムーブメントの一翼を担いました。
しかし彼らだけが持つ「ポップとノイズの共存」は特異でした。
NMEやRolling Stoneで「オアシス以来の衝撃」と評されています。
リード曲「Get Free」はMTVでも高回転でオンエアされました。

その後、フロントマンCraig Nichollsの精神的な問題が明らかになります。
メンバーの脱退や入れ替えが相次ぎ、活動は断続的となりました。
とはいえ、その混沌こそが彼らのサウンドの本質を形づくっていたのです。
激情と繊細さがせめぎ合うボーカルは、生の不安定さの表現でした。
粗削りながらも精緻なギターリフに、多くのファンが魅了されています。

2018年までに7枚のオリジナル・アルバムをリリースしました。

1960年代のガレージロック、Beatles的メロディ、Nirvana的精神の継承者です。
2000年代初頭のロック・リバイバルを牽引した存在として記憶されています。
イギリスMTVアワードやRolling Stoneの表紙も経験しました。
豪州ARIA Awardをはじめ、世界中で高評価を受けたバンドです。

主要バンドメンバー
Craig Nicholls (Vo/Gt)
Patrick Matthews (Ba/Cho)
David Olliffe (Dr)
Ryan Griffiths (Gt/Cho)
Hamish Rosser (Dr)
Brad Heald (Ba/Cho)
※初期の中心メンバーはCraig Nicholls、Patrick Matthews、David Olliffeの3名です。

スタジオアルバム
・Highly Evolved(2002)
・Winning Days(2004)
・Vision Valley(2006)
・Melodia (2008)
・Future Primitive (2011)
・Wicked Nature (2014)
・In Miracle Land (2018)

筆者の個人的感想

このアルバムには、計算されていない”瞬間の爆発”があります。

2000年代初頭のロック・シーンを振り返ると、確かに華やかでした。
しかし、THE VINESの音楽には他のバンドにない”危うさ”が宿っています。
それは技術的な未熟さではなく、感情の生々しさです。

Craig Nichollsのボーカルは、時に音程が不安定です。
でもその不安定さこそが、聴き手の心を揺さぶるのです。

「Get Free」のギター・リフは、誰でも口ずさめるシンプルさです。
一方で「Homesick」のような曲には、内省的な美しさがあります。
この振れ幅が、1枚のアルバムに収まっているのが奇跡的です。

30代以降のリスナーにとって、このアルバムは”再会”になるはずです。
若い頃に感じたロックへの衝動を、改めて思い出させてくれます。
そして、あの頃の自分と今の自分を繋いでくれる作品でもあります。
音楽が持つ力を、改めて実感させてくれる1枚です。

気になる方はコチラ

CDはコチラ→Highly Evolved
LPはコチラ→HIGHLY EVOLVED [LP] (15TH ANNIVERSARY) [Analog]

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