あなたは1970年代後半のロンドンの街角を知っていますか。
パーカを羽織った若者たちが、スクーターにまたがり夜の街を駆け抜けていた時代です。
SMALL HOURSの「ANTHOLOGY」は、その時代の空気をそのまま封じ込めた奇跡の一枚です。
The JamやSecret Affairと肩を並べながらも、商業的成功には恵まれなかった彼ら。
しかし、この24曲入りのコンピレーションには、時代を超えて響く普遍的な魅力が詰まっています。
ジャケットデザイン

音楽スタイル
・音楽ジャンル: 英国モッズ、パワーポップ、ニューウェーブ
・音楽的特徴: 疾走感あふれるリズム、キャッチーで口ずさみやすいメロディ、青春の葛藤を描いた等身大の歌詞
・類似アーティスト: The Jam、Secret Affair、The Chords、The Purple Hearts
この作品のおすすめポイント3選

1. 24曲収録の圧倒的ボリューム感
オリジナルEPの音源に加え、ライブ録音やデモバージョンまで収録。
SMALL HOURSの魅力を余すことなく体験できる決定版です。
リマスター処理により、40年以上前の音源が驚くほど鮮明に蘇っています。
2. 初心者でも楽しめる親しみやすさ
モッズという言葉に馴染みがなくても大丈夫です。
シンプルで力強いロックサウンドは、初めて聴く人の心にも真っ直ぐ届きます。
難解な実験性ではなく、ストレートに心を揺さぶる楽曲ばかりです。
3. コレクター心をくすぐるレア音源
当時のライブ音源やデモテイクは、ファンにとって宝物です。
バンドの生々しいエネルギーが、そのまま記録されています。
音楽史を掘り下げたい方には、この上ない資料的価値があります。
基本情報
・作品名: ANTHOLOGY
・アーティスト名: SMALL HOURS
・発売年: 2003年(オリジナル音源は1979-1980年)
・レーベル: Detour Records
・総再生時間: 約70分
・収録曲数: 24曲
作品紹介:埋もれた才能が今、光を取り戻す

バンドの成り立ちと時代背景
1970年代後半のロンドン。
パンクムーブメントが一段落し、若者たちは新たな音楽表現を模索していました。
そこで復活したのが、1960年代のモッズカルチャーです。
SMALL HOURSは、この「モッズリバイバル」の中心的存在でした。
Neil Thompson(Vo)を中心に、Armand Thompson(G)、Carol Isaacs(Key)、Iain Shedden(Ds)が集結。
彼らは洗練されたファッションと、ソウルフルなロックサウンドで注目を集めます。
商業的成功と無縁だった理由
The Jamのような大成功は手に入れられませんでした。
しかし、それは音楽の質の問題ではありません。
タイミングや運に恵まれなかっただけです。
実際、当時のライブは常に満員で、熱狂的なファンに支えられていました。
2003年のリイシューが意味するもの
Detour Recordsによるこのリイシューは、音楽ファンへの贈り物です。
散逸していた音源が一つにまとめられ、丁寧にリマスターされました。
ブックレットには貴重な写真や詳細なライナーノーツも収録されています。
当時を知る人には懐かしさを、知らない世代には新たな発見をもたらす内容です。
おすすめトラック3選
1. The Kid
SMALL HOURSの代名詞とも言える名曲です。
疾走感あふれるギターリフと、青春の希望と不安を歌った歌詞。
「大人になること」への戸惑いが、ストレートに表現されています。
Bruce Springsteenを思わせるメロディラインは、一度聴いたら忘れられません。
この曲を聴けば、なぜこのバンドが愛されたのか、すぐに理解できます。
2. Midnight to Six
夜の街を駆け抜けるような、スピード感が魅力です。
タイトルが示す通り、深夜から明け方までの時間帯が舞台。
若者たちの「今しかない」という切迫感が、音に乗って伝わってきます。
キーボードの絡みが美しく、モッズサウンドの真髄を感じられる一曲。
ドライブのBGMにも最適です。
3. Business In Town
日常への不満と葛藤を歌った、大人のための楽曲です。
「仕事」というテーマを正面から扱った歌詞は、30代以上の心に刺さります。
パンチの効いたギターサウンドと、Neil Thompsonの感情的なボーカル。
「こんな毎日でいいのか」という問いかけが、リスナーの心を揺さぶります。
仕事帰りに聴けば、明日への活力が湧いてくるはずです。
全収録曲リスト
Can’t Do Without You
The Kid
Midnight to Six
Underground
Armistice Day
Watch This Space
Routine
Business in Town
Seen It All Before
Its Come To This
Trojan Forever
Both Ways
I Still Believe
End Of The Night
Business In Town (Live)
But Its Alright (Live)
Mercy Mercy (Live)
Midnight To Six (Live)
Hanging In The Balance (Live)
End Of The Night (Live)
Sweet Soul Music (Live)
The Kid (Original Demo Version)
Underground
I’m A Believer
アーティスト概要:SMALL HOURSという奇跡

バンドの詳細な成り立ち
SMALL HOURSは1978年、ロンドンで結成されました。
中心人物のNeil Thompsonは、モッズカルチャーに深く傾倒していた青年です。
彼は弟のArmandをギタリストとして迎え、バンドの基盤を作ります。
そこにキーボード奏者のCarol Isaacsが加わることで、独特のサウンドが完成。
ドラマーのIain Sheddenの加入により、ライブでの完成度が飛躍的に高まりました。
バンドの特徴と音楽性
SMALL HOURSの最大の特徴は、そのメロディセンスです。
パンクの攻撃性と、60年代ポップスの甘さを絶妙にブレンドしています。
キーボードを効果的に使うアレンジは、当時のモッズバンドの中でも際立っていました。
歌詞は日常の葛藤や青春の煌めきを、等身大の言葉で綴っています。
説教臭くなく、かといって軽薄でもない、絶妙なバランス感覚が光ります。
音楽シーンへの影響力
商業的成功は限定的でしたが、後続バンドへの影響は計り知れません。
The Jamのファンの多くが、SMALL HOURSも愛聴していました。
近年のモッズリバイバルでも、彼らの名前は必ず言及されます。
「知る人ぞ知る」存在こそが、彼らの真の価値です。
主要バンドメンバー
Neil Thompson (Vo)
Armand Thompson (G)
Carol Isaacs (Key)
Iain Shedden (Ds)
スタジオアルバム
・The Small Hours EP (1980年)
・Anthology (2003年) ※コンピレーション
筆者の個人的感想:この作品があなたのコレクションに必要な理由

正直に言います。
私がこのアルバムに出会ったのは、偶然でした。
中古レコード店で、何気なく手に取った一枚。
ジャケットのデザインに惹かれて購入しました。
そして、初めてCDプレイヤーで再生をした瞬間、私は完全に虜になりました。
1曲目の「Can’t Do Without You」が流れた瞬間の衝撃。
「なぜこのバンドを今まで知らなかったのか」という後悔。
そして「この音楽を誰かに伝えたい」という強い欲求。
それ以来、このアルバムは私の人生の soundtrack になっています。
仕事で疲れた夜、週末のドライブ、友人との語らいの場。
どんな場面でも、SMALL HOURSは私の心に寄り添ってくれます。
特に30代以上の男性には、強く推薦したい作品です。
若い頃の夢と、大人になった現実のギャップ。
その狭間で揺れる心情が、彼らの音楽には詰まっています。
「もう一度、あの頃の自分に会いたい」
そう思ったことがあるなら、この作品は必ずあなたの心に響くはずです。
価格も手頃で、コレクションの一枚として申し分ありません。
70分を超える収録時間は、コストパフォーマンスも抜群です。
迷っているなら、今すぐカートに入れてください。
音楽は、人生を豊かにしてくれます。
そして、良い音楽との出会いは、人生の宝物になります。
SMALL HOURSの「ANTHOLOGY」が、あなたの宝物になることを願っています。


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