パンク以降の知的なポップを探している方へ XTC「WHITE MUSIC」を紹介

音楽レビュー
この記事を書いた人
ちゃちゃ丸

音楽コレクター歴25年、CD/レコード保有枚数2,500枚超|70年代パンク・ガレージロック専門|40代会社員として働きながら、マニアックな名盤から隠れた良盤まで実際に購入してレビュー|「次に聴くべき1枚」を探している音楽ファンのために、忖度なしの本音レビューをお届けします|愛犬:アメリカン・コッカー・スパニエル

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ジャケットデザイン

1978年、ロンドンで何かが始まった

70年代末のロンドンで、パンクの速度とポップのひねくれを同時に鳴らしたバンドがXTCです。

デビュー作「WHITE MUSIC」は、その後のギター・ポップの設計図のようなアルバムです。

変則的なリズムと、とがったギター、耳から離れないメロディが一気に押し寄せます。

批評家は**「エネルギーと独創性に満ちている」**と評価し、今も多くのリスナーを魅了しています。

パンク以降の「知的なポップ」の出発点がここにあります。

Amazonで手軽に手に入る今こそ、XTCの原点に触れてほしい一枚です。

レコード⇒White Music – 200gm Vinyl [Analog]
CD⇒White Music


音楽スタイル

音楽ジャンル
ポストパンク/ニューウェイブ/ギター・ポップ

音楽的特徴

  • 速いテンポとひねくれたコード進行が同居しています
  • 神経質なギターと、跳ねるリズムが全曲を貫いています
  • 皮肉とユーモアが混ざった歌詞世界が特徴です

類似アーティスト
Wire/Elvis Costello/Talking Heads/The Jam


おすすめポイント3選

1. デビュー作とは思えない完成度

曲ごとの個性がはっきりしており、批評家から高く評価されています。

AllMusicのレビューでは**「無方向なエネルギーと優れたユーモアセンスが光る」**と称賛されました。

短期間のレコーディングとは思えない密度の高さが、40年以上経った今も色褪せない理由です。

2. パンクとポップの絶妙なバランス

パンクの勢いとポップなメロディが両立しています。

批評家は**「エキサイティングで、あまりにも容赦なくエネルギッシュ」**と評しています。

**「後のXTCの片鱗がすでにある」**と再評価が進んでいる作品です。

3. フォーマット別の楽しみ方

リマスター盤CDは音の抜けが良く、細かなフレーズまで聞き取りやすくなっています。

UK盤LPはミックスが際立ち、音の立体感があると評価されています。

US盤LPはややタイトでパンチのある印象と語られています。

200gリマスターLPは、Andy Partridge本人の承認を得た最新カッティングで荒々しさを味わえます。

レコード⇒White Music – 200gm Vinyl [Analog]
CD⇒White Music


基本データ

作品名
WHITE MUSIC

アーティスト名
XTC

発売年
1978年

レーベル
Virgin Records(UK)/Epic Records(US盤 PE38153)

総再生時間
約38分

収録曲数
12曲


作品紹介

制作背景

XTCは英スウィンドン出身で、パンクの熱気が残るロンドンのシーンから登場したバンドです。

「WHITE MUSIC」は1978年1月20日にVirginから発売されたデビュー・アルバムです。

UK アルバムチャートで38位を記録しました。

プロデューサーはJohn Leckieで、レコーディングは短期間で行われました

ほとんどがライブ感を生かした一発録りに近い空気で、勢いが詰まっています。

Andy Partridge本人は**「4年分の曲を一気に録音した。騒々しく、傲慢で、尖っていて、注目を求めていた」**と振り返っています。

世間的な評判

ギターのカッティングと、せわしないボーカルが絡み合うサウンドは当時かなり異質でした。

シングル**「This Is Pop?」のタイトルは、文字通り「ポップとは何か」を問い直すような曲**です。

もう一つのシングル**「Statue Of Liberty」は、BBCラジオ1で歌詞のため放送禁止**となりました。

皮肉なユーモアと、ストリート感覚を持つ歌詞も支持されています。

発売当時のチャート成績は高くありませんが、批評家の間では早くから注目されました。

Stereogumは2014年に**「ざらざらした、ハイパーアクティブなポストパンクのコレクション」**と表現しました。

後年になるほど、「オルタナ世代の先駆け」として重要度が増している作品です。

フォーマット違いについて

UKオリジナルはVirgin盤LPで、青いラベルデザインやジャケットの質感でコレクター人気があります。

US盤LP PE38153はEpicからのリリースで、レーベルデザインや音圧の違いを楽しめます。

Discogsのレビューでは**「UK盤のミックスがより際立っていて、よくプロデュースされている」**と評価されています。

一般的にUK盤は中域が前に出る傾向、US盤はややタイトでパンチのある印象と語られています。

CDや配信ではリマスターが施され、細かなフレーズまで聞き取りやすくなっています。

2017年には200g重量盤LPが発売され、LOUD masteringでのカッティングが施されました。

荒々しい勢いを味わいたいならLP、全体のバランスで聴き込みたいならCDや配信がおすすめです。

AmazonではCDや配信が中心ですが、中古のLPが出品されることもあります。

レコード⇒White Music – 200gm Vinyl [Analog]
CD⇒White Music


おすすめトラック3選

Radios In Motion

アルバム冒頭を飾る、速度感あふれるナンバーです。

イントロからいきなりせわしないギターが畳みかけ、耳をつかみます

「Radios in Motion」はバンドのよく知られた曲の一つとなりました。

ラジオをテーマにしながら、音楽そのものの熱を歌う曲です。

XTCの「落ち着かないポップセンス」が最初から全開になっています。

This Is Pop?

シングル曲であり、タイトル通り「これはポップなのか?」と自問する一曲です。

キャッチーなのに素直に歌い上げない、ねじれたメロディが癖になります

パンク以降のポップがどの方向に進むかを示した、象徴的な楽曲です。

XTC入門としても、バンドの姿勢がよく伝わる一曲です。

Statue Of Liberty

少しトーンを落としつつも、相変わらず神経質なギターが走る曲です。

恋愛と自由のイメージを、皮肉とユーモアを交えて描いています

サビのメロディが耳に残りやすく、アルバムの中で程よいポップさを担っています

XTCの「変わったラブソング」が好きな人に刺さる一曲です。


全収録曲名

  1. Radios In Motion
  2. Cross Wires
  3. This Is Pop?
  4. Do What You Do
  5. Statue Of Liberty
  6. All Along The Watchtower
  7. Atom Age
  8. I’ll Set Myself On Fire
  9. I’m Bugged
  10. New Town Animal In A Furnished Cage
  11. Spinning Top
  12. Neon Shuffle

アーティスト概要

XTCの成り立ち

XTCは1972年に英スウィンドンでAndy PartridgeとColin Mouldingによって結成されました。

初期はStar Parkという名前で、グラム・ロックやサイケの影響を受けたサウンドでした。

1973年にはThe Helium Kidzに改名し、パンクシーンに合わせていきました。

1975年夏、コメディアンJimmy Duranteが出演する映画にインスパイアされてXTCという名前に決定しました。

パンク勃興期に合わせて、テンポを上げたタイトなスタイルへ変化します。

1978年の「WHITE MUSIC」でメジャーデビューし、ニューウェイブの一角として知られます。

XTCの特徴

その後はアルバムごとに作風を変え、ポップ職人としての評価を高めました。

特徴は、ひねくれたコード進行と、緻密なアレンジです。

メロディ自体はキャッチーですが、ストレートには行かない構成が魅力です。

歌詞は社会風刺や日常の違和感を描くことが多く、独特のユーモアがあります。

80年代以降はライヴ活動を減らし、スタジオ作業に集中する方向へ進みました。

後続のオルタナ勢やギター・ポップ・バンドから、たびたび影響源として名前が挙がります。

主要バンドメンバー(WHITE MUSIC期)

  • Andy Partridge (g, vo)
  • Colin Moulding (b, vo)
  • Barry Andrews (key)
  • Terry Chambers (dr)

スタジオアルバム一覧

  • White Music(1978)
  • Go 2(1978)
  • Drums And Wires(1979)
  • Black Sea(1980)
  • English Settlement(1982)
  • Mummer(1983)
  • The Big Express(1984)
  • Skylarking(1986)
  • Oranges & Lemons(1989)
  • Nonsuch(1992)
  • Apple Venus Volume 1(1999)
  • Wasp Star (Apple Venus Volume 2)(2000)

筆者の個人的感想

「WHITE MUSIC」は、音楽の「正解」を疑った作品です。

パンクが破壊したものの先に、何を建てるべきか。

**XTCの答えは「ひねくれたポップ」**でした。

この作品を聴くと、音楽には無限の可能性があると気づかされます

デビュー作でありながら、すでに確立された個性がそこにはあります。

Amazonで今すぐ手に入るこの作品を、ぜひあなたの音楽コレクションに加えてください

CDでも、配信でも、LPでも、どの形で聴いても価値があります

「ポップとは何か?」という問いに、あなた自身の答えを見つける旅が始まります

レコード⇒White Music – 200gm Vinyl [Analog]
CD⇒White Music

コメント

  1. すてきなご紹介文をありがとうございます

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