ジャケットデザイン

90年代前半のUKインディシーンは、静かな熱気に包まれていました。
シューゲイザーの余韻と、新しいポップの胎動が交差する時代です。
その中心にあったのが、伝説のレーベル、クリエイション・レコーズ。
18 Wheelerの『Twin Action』は、その時代を象徴する一枚です。
オアシスを発見した運命の夜、前座を務めていたのが彼らでした。
しかし本作を聴けば、単なる「前座バンド」という評価が表面的だと分かります。
轟音ギターと親しみやすい旋律が、驚くほど自然に共存しています。
派手さはありませんが、何度も手に取りたくなる誠実さがあります。
今あらためて聴く価値のある、90年代UKインディの良心です。
CD版:Twin Action
LP(アナログ盤):Twin Action [12 inch Analog]
※各フォーマットで音質の違いを楽しめます。特にLP盤はギターの質感が際立ちます。
音楽スタイル

音楽ジャンル
90年代UKインディロック、ノイズポップ、ギターポップ
音楽的特徴
歪んだギターが前面に出た、厚みのあるサウンドが特徴です。
その中に、素直で覚えやすいメロディが自然に溶け込んでいます。
荒さと優しさ、ノイズとポップが矛盾なく同居する稀有なバランス感覚。
シューゲイザーの残響とインディポップの明快さを橋渡しする音楽性です。
類似アーティスト
- Teenage Fanclub:同郷スコットランドの先輩格。旋律を何より大切にする姿勢が共通しています。
- Ride:厚みのあるギターの壁と、その中で浮遊するメロディに近さを感じます。
- The Jesus and Mary Chain:ノイズをポップソングの一部として機能させる手法が重なります。
この作品のおすすめポイント3選
- ① ノイズとメロディの自然な調和
荒々しいギターが鳴り続けますが、耳に残る旋律がしっかりと存在します。刺激と聴きやすさのバランスが絶妙で、何度聴いても飽きない構造になっています。ディストーションの向こうに透けて見えるメロディの美しさこそ、本作最大の魅力です。 - ② デビュー作ならではの勢いと若さ
演奏や録音には粗さが残っていますが、それが逆に若いバンドの推進力を生々しく伝えています。完璧に磨き上げられた作品にはない、現場の空気感と衝動が詰まっています。 - ③ 90年代UKインディの空気を記録した歴史的価値
ブリットポップ直前の過渡期、シーンが次の段階へ移行しようとしていた瞬間の感覚が刻まれています。当時のシーンを知る資料としても、音楽史的な価値を持つ一枚です。
CD版:Twin Action - LP(アナログ盤):Twin Action [12 inch Analog]
- ※各フォーマットで音質の違いを楽しめます。特にLP盤はギターの質感が際立ちます。
作品基本情報

作品名:Twin Action
アーティスト名:18 Wheeler
発売年:1994年7月25日
レーベル:Creation Records
総再生時間:約47分
収録曲数:全14曲
カタログナンバー:CRELP 164 (LP) / CRECD 164 (CD)
録音:Brit Row (London) / Fluxus Sound (Aberdeen)
マスタリング:Abbey Road Studios
作品紹介
18 Wheelerは、スコットランド第二の都市グラスゴーで1992年に結成されました。
『Twin Action』は、1994年7月に発表された記念すべきファーストアルバムです。
当時のUK音楽シーンは、大きな転換点を迎えていました。
シューゲイザーの終息と、新しいポップ志向の台頭が並行していたのです。
所属レーベルのクリエイション・レコーズは、まさにその中心にありました。
RideやMy Bloody Valentineといったシューゲイザーの旗手を世に送り出し、次の時代を模索していた時期。
18 Wheelerは、その過渡期を埋める重要な存在でした。
轟音を保ちながらも、より明確なメロディとポップな構造を前面に押し出したのです。
制作背景には、グラスゴーの豊かな音楽環境が大きく影響しています。
The PastelsやTeenage Fanclubといった先輩バンドが築いた、メロディを重視するスコットランドの伝統。
ただし18 Wheelerは、彼らよりもラフで直接的な表現を選びました。
結果として、飾らない誠実さに満ちたロックアルバムが完成したのです。
本作のリリース直前、1994年5月のグラスゴーでのライブで運命的な出会いがありました。
Creation Records代表のAlan McGeeが、友人のバンドを見に来場。
ところが前座として勝手にステージに上がった無名のバンドに釘付けになります。
そのバンドこそ、後にUKロックの歴史を変えるOasisでした。
商業的な成功は限定的でしたが、批評家からの評価は概ね良好でした。
特にソングライティングの誠実さと、時代に流されない姿勢が支持されています。
Discogsでの平均評価は5点満点中3.74点。
派手さはないものの、確かな質を持つ作品として、今も愛聴者を増やし続けています。
おすすめトラック3選
Suncrush
アルバム冒頭を飾る代表曲であり、本作の顔とも言える一曲です。
歪んだギターと開放的な旋律が同時に響き渡り、聴き手を一気に作品世界へ引き込みます。
荒々しさと爽やかさが共存する不思議な魅力。
この曲を聴けば、アルバム全体の方向性が端的に理解できるはずです。
約2分38秒という短さも、パンクスピリットを感じさせます。
The Revealer
テンポの良いギターポップナンバーで、アルバムの推進力を支える重要曲です。
シンプルな構成ながら、フックが明確で記憶に残ります。
コンパクトにまとまった約2分34秒の中に、バンドの持ち味が凝縮。
ライブでも映える、ストレートなロックンロールです。
Wet Dream
アルバム最長の約6分28秒に及ぶ、壮大なクロージング・トラックです。
ノイズの奥底に潜む甘美なメロディが、時間をかけて姿を現します。
即効性よりも余韻を重視した構成で、アルバムに深みを与えています。
繰り返し聴くほどに味わいが増す、スルメのような一曲です。
CD版:Twin Action
LP(アナログ盤):Twin Action [12 inch Analog]
※各フォーマットで音質の違いを楽しめます。特にLP盤はギターの質感が際立ちます。
全収録曲リスト
1.Sweet Tooth (2:29)
2.Nature Girl (2:54)
3.Kum Back (2:31)
4.Golden Candles (6:23)
5.The Revealer (2:34)
6.Honey Mink (3:41)
7.Gram (3:52)
8.Prock Shake(3:21)
9.Hotel 167 (3:02)
10.Suncrush (2:38)
11.Frosty Hands (3:17)
12.Life Is Strange(2:32)
13.I Won’t Let You Down (2:04)
14.Wet Dream (6:28)
アーティスト概要

バンドの歴史と変遷
18 Wheelerは、1992年にグラスゴーで結成されました。
中心人物はSean Jackson (Vo/Gt)です。
当初のギタリストDavid Keenanと共に、バンドの音楽的核を形成しました。
彼らの音楽性は、ノイズとポップの共存を軸としています。
過度な装飾を排し、曲そのものの力を信じる姿勢。
この一貫した哲学は、活動期間を通じて変わることはありませんでした。
ライブバンドとしての評価も高く、エネルギッシュなステージで知られました。
特に1994年にはOasisのツアーに同行し、ブリットポップ黎明期のUKロックシーンを最前線で体感。
しかし皮肉にも、その支援したOasisが爆発的な成功を収める一方で、18 Wheelerは商業的に苦戦しました。
1994年、デビューアルバム発表の直前にDavid Keenanが脱退。
彼は自身のバンド、Telstar Poniesを結成します。
後任としてSteven Haddowが加入し、バンドは新体制で活動を継続。
1995年にセカンドアルバム『Formanka』、1997年には実験的な『Year Zero』をリリースしました。
『Year Zero』ではサンプリングを取り入れた大胆な路線変更を試みます。
リミックス版シングル「Stay」がメインストリームのラジオでオンエアされ、UK Top 75入り(最高59位)を果たしました。
しかしこれが彼らの唯一のヒット曲となり、4枚目のアルバム制作中にCreationからドロップされてしまいます。
大きな商業的成功には至りませんでしたが、作品は今も再評価され続けています。
特にDavid Keenanは、脱退後に音楽評論家・作家として活躍。
バンド解散後も、文化的な影響を静かに広げ続けました。
主要バンドメンバー
- Sean Jackson (Vo/Gt/Ba/Piano) – リーダー、全期間在籍
- David Keenan (Gt/Vo) – 1992-1994年、後にTelstar Ponies結成
- Steven Haddow (Gt) – 1994-1998年、David脱退後に加入
- Alan Hake (Ba/Vo/Gt/Moog) – 全期間在籍、後にMust Destroyレーベル共同設立
- Neil Halliday (Dr) – 全期間在籍
スタジオアルバム一覧
- Twin Action (1994年7月25日) – ノイズポップの傑作デビュー作
- Formanka (1995年5月22日) – より洗練されたセカンド
- Year Zero (1997年3月10日) – サンプリングを導入した実験作
- 未発表4thアルバム – マスターテープは存在するも未リリース
※バンドはCreation Recordsからドロップされた後も4枚目のアルバムを録音しており、Alan Hakeがマスターテープを保有していることが明らかになっていますが、現時点でリリース予定は公表されていません。
筆者の個人的感想

『Twin Action』は、90年代UKインディの誠実さを体現した作品です。
派手さや話題性とは無縁ですが、長く付き合える確かな内容があります。
CDや配信でも魅力は十分に伝わりますが、可能であればUKオリジナルLPでの再生もおすすめです。
ギターの質感が、より立体的に感じられるはずです。
時代に埋もれた名盤を探している方、Teenage FanclubやRideが好きな方。
そして、ブリットポップ以前のUKインディに興味がある方に、確実に応えてくれる一枚です。
今こそ、この誠実なロックアルバムを手に取るべきではないでしょうか。
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CD版:Twin Action
LP(アナログ盤):Twin Action [12 inch Analog]
※各フォーマットで音質の違いを楽しめます。特にLP盤はギターの質感が際立ちます。



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