ジャケットデザイン

パンクに興味を持ち始めたあなたへ。
The Boysのデビュー作「THE BOYS」は、1977年のロンドンの熱気をそのまま閉じ込めたような1枚です。
速くて短い。だけどメロディがきちんと心に残る。
「パンクって怖そう」という先入観を持つ人こそ、この作品を聴いてほしいです。
実は、パンクの入り口って、こんなに聴きやすいんだと体験させてくれるアルバムなのです。
Sex Pistols、The Clash、Ramonesと並び称されながら、なぜか歴史の影に隠れてしまった伝説のバンド。
その理由は、彼らが「攻撃的すぎなかった」から。
でも今、改めて聴くと、その優しさと疾走感のバランスこそが、最高にクールだと気づくはずです。
初めてのパンクにも最適なので、ぜひチェックしてみてください。
レコード⇒The Boys [Analog]
CD⇒Boys
音楽スタイル

音楽ジャンル
パンクロック / ポップパンク
音楽的特徴
- 勢いあるギターリフが曲を引っ張る爆発力
- ぐいぐい前進するビート感覚
- ピアノが加わったキャッチーなメロディライン
- 短い曲の中に詰め込まれた高密度のフック
類似アーティスト
- Buzzcocks(初期ポップパンクの完成形)
- Ramones(アメリカのパンクロック)
- The Undertones(メロディアスな英国パンク)
- Generation X(Billy Idolのバンド)
おすすめポイント3選

① 速さとメロディのバランスが抜群
初っ端から走るのに、耳に残るフックがしっかりあるのです。
パンク初心者でも聴きやすく、何度も聴きたくなる中毒性があります。
「攻撃的だけど優しい」という矛盾を、見事に両立させています。
② 1977年のパンクの”生の空気”がそのまま詰まっている
デビュー直後の勢いで一気に録音されたため、ライブの熱がそのまま伝わってきます。
このアルバムは、歴史が動いた瞬間を記録した音楽的タイムカプセルです。
当時、Sex Pistolsがレコード会社から解雇された直後、The Boysは英国初のパンクバンドとして正式にアルバム契約を獲得しました。
③ ポップパンクの原型ともいえる聴きやすさ
短くてわかりやすい曲ばかりなので、パンク未経験の方にもおすすめです。
Buzzcocksがチャートで成功する前に、The Boysはすでにポップパンクの設計図を描いていました。
後の世代のバンド、特に日本のThee Michelle Gun ElephantやドイツのDie Toten Hosenにも影響を与えています。
作品基本情報
作品名: THE BOYS
アーティスト名: The Boys
発売年: 1977年9月
レーベル: NEMS Records(オリジナル) / Link Records(再発盤)
総再生時間: 約32分55秒
収録曲数: 14曲
チャート成績: 全英アルバムチャート50位
作品紹介

The Boysは、1976年ロンドンで結成されたUKパンクの重要バンドです。
メンバーのMatt DangerfieldとCasino Steelは、元々伝説的なグラムパンクバンドHollywood Bratsに在籍していました。
その後、Mick Jones(The Clash)やTony James(Generation X)も参加していたLondon SSというバンドの活動を経て、The Boysを結成します。
1977年1月、Sex Pistolsがレコード会社から解雇された直後、The BoysはNEMS Recordsと契約を結びます。
これにより、英国初のアルバム契約を獲得したパンクバンドという歴史的な称号を手にしました。
1977年4月、デビューシングル「I Don’t Care」をリリース。
続いて7月に「First Time」を発表し、9月23日にこのデビューアルバム「THE BOYS」が世に放たれました。
このアルバムは、音楽シーンが大きく変わり始めた時代の空気を感じさせてくれます。
シンプルで荒削りなのに、妙に耳に残るメロディライン。
その独自性が評価され、後に「初期パンクの名盤」として再評価が進みました。
音楽評論家たちは彼らを「パンクのビートルズ」と呼びましたが、それは決して大げさな表現ではありません。
Casino SteelとMatt Dangerfieldによる楽曲は、疾走感とハーモニーを両立させる稀有な才能を示しています。
現在は再発盤としてLink Records版が手に入りやすく、多くのパンク入門者が最初に手に取る作品にもなっています。
レコード⇒The Boys [Analog]
CD⇒Boys
おすすめトラック3選
① Sick On You
爆発力のあるギターで一気に引き込まれるオープニング曲です。
パンクのスピード感をまっすぐ感じられます。
実はこの曲、Hollywood Brats時代に書かれた楽曲のリメイクです。
グラムロックの華やかさとパンクの荒々しさが融合した、まさに時代の橋渡しとなった曲です。
② I Don’t Care
シンプルでキャッチー。初期パンクの代名詞のような曲で、バンドの代表作です。
The Boysの記念すべきデビューシングルとして、1977年4月にリリースされました。
「どうでもいい」というタイトルなのに、こんなに心に残るメロディを書けるのが、彼らの天才的なところです。
③ First Time
青春の甘酸っぱさと不安を2分20秒に凝縮した名曲です。
The Undertones「Teenage Kicks」と並ぶ、パンクの青春アンセムと評価されています。
初体験をテーマにしたこの曲は、パンクロックが持つ「正直さ」を体現しています。
疾走するビートの中に、少年の繊細な感情が詰まっているのです。
全収録曲
- Sick On You
- I Call Your Name
- Tumble With Me
- Tonight
- I Don’t Care
- Soda Pressing
- No Money
- First Time
- Box Number
- Kiss Like a Nun
- Cop Cars
- Keep Running
- Tenement Kids
- Living in the City
アーティスト概要

The Boysの成り立ち
The Boysは、ロンドンのパンクシーンの中心地で生まれたバンドです。
Matt Dangerfieldの地下室スタジオ(Maida Vale 47A Warrington Crescent)は、当時のパンクシーンの聖地でした。
この場所で、Sex Pistols、The Damned、The Clash、Generation Xなど、後に伝説となるバンドたちが最初の録音を行いました。
1976年10月15日、Hope and AnchorパブでThe Boysは初ライブを行います。
観客席には、Mick Jones、Billy Idol、Joe Strummer、Tony James、Gene Octoberといった、パンクシーンの重要人物たちがいました。
わずか数回のライブの後、1977年1月にNEMS Recordsと契約。
これは、Sex PistolsがEMIから解雇され、The DamnedがStiff Recordsとシングル契約しかしていなかった時代のことです。
The Boysは、正式なアルバム契約を獲得した最初の英国パンクバンドとして歴史に名を刻みました。
音楽的特徴と影響力
メロディアスな楽曲と、鍵盤を取り入れたスタイルで、パンクとポップの橋渡しとなった存在です。
荒々しさの中にキャッチーさを持つサウンドは、後のポップパンクにも影響を与えています。
特に注目すべきは、Casino Steelのピアノです。
パンクバンドでキーボードを使うバンドは当時ほとんどいませんでした(The Stranglersは例外ですが、彼らはパブロック寄りでした)。
この独自性が、The Boysのサウンドに他にはない魅力を与えています。
The Jamのギタリスト、Paul Wellerは自分のギターにThe Boysのステッカーを貼っていました。
ドイツのパンクバンドDie Toten Hosenは、10年以上にわたってThe Boysの楽曲をライブでカバーし続けました。
日本のThee Michelle Gun Elephantは、The Boysのカバーでヒットを記録し、それがきっかけで日本だけで30,000枚以上のアルバムが売れました。
主要メンバー(1977年当時)
- Matt Dangerfield (g, vo)
- Casino Steel (key, vo)
- Honest John Plain (g)
- Duncan “Kid” Reid (b, vo)
- Jack Black (ds)
スタジオアルバム
- The Boys (1977)
- Alternative Chartbusters (1978)
- To Hell With The Boys (1979)
- Boys Only (1981)
- Power Cut (1999)
- Punk Rock Menopause (2014)
筆者の個人的感想

このアルバムを聴くと、「パンクって怖そう」という先入観がスッと消えます。
速くて、短くて、でも優しいメロディが残る。
これがThe Boysの魅力です。
パンクを「怒り」や「反抗」だけで語るのは、あまりにもったいない。
The Boysは、パンクが持つ「純粋さ」と「喜び」を教えてくれます。
全14曲、約33分。
この短い時間の中に、1977年のロンドンの空気が詰まっています。
Sex Pistolsのようなカオスもなく、The Clashのような政治性もない。
ただ、純粋に音楽を楽しんでいる若者たちの熱があるだけです。
あなたがもし、今「ロックの新しい扉」を開きたいと思っているなら、まずこの「THE BOYS」から始めてみてください。
きっと次の名盤を探したくなるはずです。
そして、The Boysを聴いた後のあなたは、もうパンクの世界の住人になっているでしょう。
レコード⇒The Boys [Analog]
CD⇒Boys


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